ここまで、どうだったかな?
こんにちは! パオたろうだよ!
PAOの世界を楽しんでくれているかな?
ちょうど今、PAOの半分が過ぎて折り返し地点だけど、どうかな?
なにか困っていたり、分からないことがあったらぜひ伝えてほしいな。
これまでの会場でのワークやこのサイトに対する感想をありがとう。
「サイトに書いてあることができてなくて反省しました。」という声を、
子ども達や保護者の方からもいただいたけど、大丈夫だよ。
だって、誰もが道の途中だし、失敗している最中だから。
自分で気づいて認められたのはとてもいいこと。
どんどん前向きにやっていこう。
このサイトは問いかけが多いよ。
なんでかっていうと、自分で考えてみてほしいからなんだ。
PAOのメインはあくまで『体験』。
自分で体験して見つかることがいっぱいあるし、
体験することで自分の答えが見つかるから。
はじめから答えが書いてあるクイズはおもしろくないよね。
分からないことを考えていくの がおもしろいし、
答えが見つかった時にうれしいよね。
誰かの答えを暗記するんじゃな くて、
自分の答えを見つける場所。
それがPAOだよ。
その体験をよりよくできるためのお手伝いとなるものが
このサイトなんだ。
さて、PAOに参加してみたり、
ゆういちの話を聞いたり、
このサイトを読んだりしての感想はどうかな?
よく分かったかな?
それとも難しかったかな?
もし、このサイトに書いてあることや、ゆういちの話に共感してくれていたら、
うれしいなって思う。ぼくたちが大切に思っていることなんだ。
もし、 このサイトに書いてあることや、ゆういちの話に対して
「共感できない」
「意味が分からない」
「PAOでやっていることに疑問を感じる」
と思うなら
それもいいことだと思う。
ん?
共感してもいいし、共感できなくてもいい?
どういうことだろう?
共感とは『みんなと同じ』『今までと同じ』ということ。
共感ばっかりということは、
他でもやっていること、
今まで知ってること、
体験ずみのことしかなかったってこと。
つまり今までとの変化がない。
違和感を感じたということは、違うものに出会えたということなんだ。
おめでとう!
つまり、今の自分が何か変化しそうなものに出会えたということだと思うんだ。
あとは、その違いをどうとらえるかだと思う。
では、次は『違いと出会う』ことについて考えてみるよ。
『共通点』と『違い』
PAOでは『3つの共通点』というインプロゲームをやっているよ。
3人組になり30秒で相談して、お互いの3つの共通点を探すというゲーム。
それで気づいたのは 「共通点があると仲良くなれる。」ということだったね。
だから話す時には、相手と同じことを見つけて話すといい。
そうすると共感して「うん、うん」って聞いてくれる。
では、みんなと同じ話ばかりしていていいのかというと、そうじゃない。
みんなと同じということは安心なんだけど、同じが続くのは退屈。
おもしろさは『変化』の中にあるんだ。
それまでの『同じ』から『違い』が生まれることで『変化』するよ。
だから、 みんなと違うことを見つけていく必要があるよ。
みんなが当たり前だと思っていることを、ちょっとズラしてあげることで、
おもしろかったリ、興味深い話ができるよ。
これまで人類はいろんな『当たり前』に疑問を持って
『違い』を使って『変化』してきたよ。
その様子を見てみよう。
地球がまわっているのは当たり前?
ぼくたちが住んでいる地球は
太陽の周りを回っている。
(これを地動説というよ。)
これは、当たり前だよね。
でも、ずっと昔はそれが当たり前じゃなかったんだ。
ずっと昔に信じられていたのは、
地球の周りを太陽や星が回っている。
(これを天動説というよ。)
16世紀ぐらいからだんだん天動説から地動説に変わっていったよ。
でも、どうやって変わっていったんだろう?
勝手にいつの間にか変わったのかな?
そうではなくて、コペルニクスをはじめとした、たくさんの人が地動説をとなえることで変わっていったんだ。
こうやって常識がガラッと変わったよ。
このような時に『パラダイムシフトが起きた』っていうんだ。
パラダイムシフト。
『パラダイム』という言葉は、
科学哲学者のトーマス・クーンが最初に使いはじめたよ。
『パラダイム』とは『ある時代や場所でみんなが信じている常識』という意味。
『パラダイムシフト』とは『みんなが信じている常識を変える』という意味だよ。
今のぼくたちが『天動説』ではなく『地動説』というパラダイムを持つことができているのは、ずっと昔にコペルニクス達が『地動説』をとなえてパラダイムシフトを起こしたおかげだというわけ。
現在はというと、地動説ほどの大きな変化はないにしても、
いろんな変化が起きている時代だよ。
パラダイムシフトがたくさん起こっているんだ。
パラダイムシフトは、他にもたくさんあるよ。
いろんなパラダイムシフト。
日本だと、例えば、文明開化もそうだね。
髪型はちょんまげからザンギリ頭に変わり、
服装は着物から洋服に変わっていったよ。
こんなに大きな歴史的な変化だけではなく、
身近な所にもたくさんあるよ。
例えば、病院だと、お医者さんが診察の内容を書くカルテは
以前は紙だったけど、今は電子カルテというものに変わってきているよ。
以前は、体調が悪くても休むことができない会社があったけど、『熱があったり、体調が悪かったら休む。』というパラダイムに変わった会社が増えたみたい。
こんなふうに、身近な所でもたくさんパラダイムシフトが起こっているよ。
考えてみよう。
きみの近くでどんなパラダイムシフトが起こっているかな?
考えてみよう。
これらのパラダイムシフトの例を見ていくと、共通点が見つかってこないかな?
パラダイムシフトは、どんな時に起こるんだろう?
パラダイムシフトはどんな時に起こるのか?
パラダイムという考え方を作ったトーマス・クーンは『科学革命の構造』という本の中でこう言っているよ。
パラダイムシフトが起こる時は
①世代交代が起きた時。
②外から人がやってきた時。
このどちらかの時。
では、一つずつ見ていこう。
①世代交代が起きた時。
コペルニクスが地動説をとなえてから、それが認められてパラダイムシフトするまでにどのくらいかかったと思う?
なんと、100年以上なんだ。
地動説が発表されて、新世代は「地動説いいな。」と思ったんだ。
でも、旧世代が 「地動説なんか間違ってる!」と主張し続けたので
なかなか地動説に変わっていかなかったんだ。
旧世代は権力を持っていたので、新世代は負けちゃたんだ。
結局、地動説が 認められたのは、旧世代がみんな完全に亡くなって、
新世代が力を発揮したころだったんだよ。
日本の大きなパラダイムシフトの『明治維新』では
幕末の志士として活躍したのは20~30代の若い新世代の武士たちだったみたい。
40~50代の人は少なくて、 それを見ているだけだったり、逆にジャマしてたんだって。
身近なことで例えてみると、
中学校の部活で、1年生が新しいことしたいなぁって思っても、
上級生がOKしなければできないよね。
結局、上級性がみんな卒業して、自分たちが3年生になったら
やっとそれができたりするよね。
そんな感じ。
こうやって世代が交代する時にパラダイムシフトが起こるよ。
きみも、まさに新世代だよね。
そして大人は上の世代。
違うパラダイムを持つ者同士が分かり合うのは難しいことがあるね。
大人と話す時に、なんか変だなぁと思ったら、 それがパラダイムの違いかも。
そのパラダイムの違いについて話した時に怒りだす大人もいるかもしれないね。その大人は違うパラダイムを受け入れることができないんだ。
逆に、その違いを理解しようとしてくれる大人もいるよ。
ゆういちとさよは、子ども達のパラダイムを理解するように心がけているよ。(分からない時もあるけど。)
大人と話すのが苦手という子は
まずは、ゆういちかさよと話すことで
大人と話すことに慣れることから始めてもいいかもね。
②外から人がやってきた時。
外から人がやってきた時もパラダイムシフトが起こるよ。
例えば、文明開化がそう。
ペリーが黒船に乗ってやってきて、
それまで鎖国していた日本が開国し、
西洋の文化がたくさん入ってきた。
『外からやってきた人』には『他のジャンルの人』という意味もあるよ。
この『パラダイム』自体も、違うジャンルの人が流行らせたんだ。
トーマス・クーンが『パラダイム』を発表した時、
多くの科学者からの反論にあって、
とうとう意見を引っ込めてしま ったんだ。
その後、パラダイムという言葉を使ったのが『7つの習慣』という本を書いたコヴィー博士。
科学の世界でコチャゴチャやっている間に、
違うジャンルのビジネスの世界の人に持っていかれちゃったんだ。
こんなふうに、他の場所から人が来たり、違うジャンルの人が常識を変えていって、パラダイムシフトを起こしていくんだ。
また、他の例でいうと、
ゆういちはまさに「外からやって来た人」なんだ。
東京から愛知県にやってきたし、
演劇の世界から教育の世界にやってきたよ。
それまでのいろんな当たり前を変えたいと思ってる。
勉強がつらくて楽しくないと思っている人に、
勉強はもっと楽しくて、大好きになっていいものだって伝えたいんだ。
きみも、これから、まだ体験したことのない世界に行くかもしれないね。
その時、今の世界で体験したことを生かして、
きみもパラダイムシフトを起こすことがあるかも。
または、きみは、すでに、他の世界から来た人かもしれないね。
パラダイムシフトしよう!
今、PAOに集まってきてくれているみんなは
パラダイムシフトしたくて来てるんじゃないかなって思うんだ。
これまでになかった考え方で、今までやったことない体験をしたいと思ってる。
じゃなきゃ PAOっていうよく分からない所に来ないよね(笑)
でね、やっぱリ『天動説』と『地動説』を同時進行するのは難しい。
せっかく『熱があったら休もう。』ってみんなで決めたのに、
『熱があってもがんばって出席するのすばらしい。』って考える人が一人いて、
熱があるのに出席してカゼをうつしたってなったら意味がない。
だから、みんなで一斉にした方が効果があると思うんだ。
でもパラダイムって目 に見えないものだから、みんなでやろうにもやれない。
言葉にしないと、何が当たり前で、どう変わっていけばいいのかよく分からないんだ。
それをはっきりさせるために、 このサイトを作ったよ。
PAOのみんなで一斉にパラダイムシフトしたらすごいなって思うんだ。
すんなり いくのか?
じゃあ「はい、では今からそうします。」ってすんなり行くのかというと、
そうならなかったりする。
やっぱり、抵抗はあるよね。
それをちょっと見ていこう。
天動説から地動説に変わるのになんで100年もかかったかというと、
旧世代の人達が反対したからなんだ。
そもそもコペルニクスは天動説を発表したくなかったらしい。
キリスト教では地球が宇宙の中心にあると考えるので、
地動説はそれに反するからね。
弟子にすすめられてコペルニクスは亡くなる直前にしぶしぶ地動説を発表したんだ。
その後、ガリレオがさらに地動説が正しいとする理由をたくさん見つけて発表したんだけど、裁判にかけられ、もう二度と地動説をとなえないように約束させられてしまった。
その後、ケプラーが考えた法則を使った地動説の星表が広まることで、やっと地動説が広まったよ。でもそのころには旧世代がみんな亡くなっていたので、反対する人が少なくなっていたんだ。
こうやって見ていくと、
旧世代がいるうちに新しい考え方が認められるのは難しそうに感じるね。
中には新しい考えを理解してくれる旧世代もいるとは思うけど。
結局、多くの旧世代は死ぬまで新しい考え方を受け入れることができず、
旧世代がいなくなってからやっと新世代の考えでやっていけるみたい。
旧世代は、新しい考えを否定しがち。
新しいものに変わっていくことは、
それまでの考え方で慣れてしまっている人からすると面倒なんだ。
そして、相手を認めたら、自分たちがいいと思っていたことを否定する ことになってしまうから。
『誰に』話すのが苦手なのかってみんなに聞いたら
「大人と話すのが苦手」という声が多かったね。
まさに世代間のパラダイムの違いなんだと思うよ。
その違いがあった時に否定をされたことがあるから、
大人と話すのを苦手に感じるのかもしれないね。
人と違う意見を話す時に怖いと感じるのは
「意見の違う人達から否定されるんじゃないか?」
「攻撃されるんじゃないか?」
って想像するからなんだ。
みんなに、どんな人が話しやすい?って聞いたら
「話を否定せずに、聞いてくれる人がいい」
という声が多かったよね。
話す時に何が怖いかっていうと、
聞いた人の反応(否定、批判 攻撃、悪口、かげぐちなど)
が怖いんだよね。
きみも新世代として新しい考え方を主張することが
これからあるかもしれない。
その時どうすればいいだろう?
これまでの歴史と同じように、旧世代とぶつかって、
否定し合っていけばいいのかな?
世代間ではぶつかるということが分かったけど、
外から人がやって来た時の場合はどうなんだろう?
ぶつかり合ったのかな?
ペリーの時はどうだったかというと、
鎖国中の江戸幕府は異国船打払令を出して、
外国の船が来たら大砲で打って、鎖国を守ったんだ。
同じように、地域によってはパラダイムシフトされたくないから、
外から人を入れなくしたり、
外から来た人にきつく当たる閉鎖的な地域もあるよ。
そうやって変化しないように、外からの人を排除して自分たちを守る。
仲間外れにするというのも同じかもね。
では、ゆういちが東京から愛知県に来た時に迫害を受けたのか?
ゆういちの場合はそうじゃなかったんだ。
ゆういちが運が良かったのは、最初に来たのが安城市だったこと。
安城市は外からの人達にとても優しい町なんだ。
よそ者のゆういちにとても親切にしてくれたよ。
安城市は豊田市の隣だから、トヨタに働きに行く人達が外からたくさん入ってくる地域だかららしいよ。
きみは外から人がやってきたらどうするかな?
仲間に入れてあげる?
仲間外れにする?
自分たちと違うことを見つけてバカにする?
自分がもし引っ越して、よそ者になったらどうされたい?
争えばいいのかな?
でも、それは昔のことで、今やらなくていい気がする。
令和の時代にどうすればいいんだろう?
YESかNOか?
そこにヒントがある気がするよ。
それでは、次へ。
次は…
「第5章 YES or NO? 冒険 or 安全?」