①失敗してもOK!

そもそも、なんで、練習をするのかというと
今の時点でできないからだよね。
はじめからできるんだったら、練習する必要がない。
だから、練習は「できない」が「できる」に変わるためのもの。

「できない」から「できる」に変わるには
すんなりいくわけではなくて
何度も失敗しちゃう。
そして、失敗しているうちにだんだんできるようになっていく。
自転車に乗れるようになるまでに何度も転ぶように。

だから、「失敗」というのは「上手くなるまでの途中経過」なんだよね。
なのに、失敗を禁止して一発で上手くいくことを求めたり
失敗をバカにしたり笑ったりしたら
失敗自体が怖くなって
失敗を体験できず
結局できないまんまになってしまう。
だから、ここでは、どんどん失敗してOK!

失敗について学ぼう。

PAOでは簡単な算数のゲームをやったよ。
ゆういちが思い浮かべたゼロ以上の整数を当てるゲームだよ。
順番に一人一問ずつゆういちに質問をしていって、
ゆういちは 「イエス」「ノー」「分からない」のうち一つを答える。
最後にゆういちが思い浮かべた数字を当てた人が勝ちだよ。

前にやったのでその様子を見てみよう。

Aさん 「それは 3以下ですか?」
ゆういち「イエス。」
Bさん 「それは2ケタですか?」
ゆういち「ノー」
Cさん 「それは体で表せる?」
みんな (笑) | ゆういち「ん~、イエス。」
Dさん 「・・・・・・。え~。分かんない。」
ゆういち「パスしていいよ。」
Dさん 「パス ・・・。」
Eさん 「それは奇数ですか?」
ゆういち「イエス。」
Fさん 「それは5以上ですか?」
ゆういち「イエス。」
Gさん 「それは9ですか?。」
ゆういち 「ノー。」
Hさん 「それは7ですか?」
ゆういち「正解!」

これは楽しいゲームだね。
さて、これで何が学べるんだろう?

このゲームは質問することで少しずつ正解に近づいていくね。

「それは3以下ですか?」の質問に「イエス」なので、0~3が決まる。

「それは2ケタですか?」の質問に「ノー」なので、0~9か0が決まる。

「それは奇数ですか?」の質問に「イエス」なので、1、3、5、7、9が決まる。

これが勉強するってことだと思うんだ。

「○○かな?」
「はい。」
「やっぱりそうか!」

「△△かな?」
「いいえ。」
「違うか。」

そうやって実験を重ねて答えに近づいていく。
何度も質問を繰り返していけば
最後に答えにたどりつく。

最後のHさんが正解とするのなら
AさんからGさんまでの質問は正解ではなかったとも言えるね。
失敗ともいえる。

でも、数字が無限にあるわけだから
最初から一発で正解することは不可能だよね。

ということは、途中の失敗があったからこそ
最後に正解が出せたんだ。
これは何度も間違えていいし、何度もチャレンジしていいから
できたんだ。

では、もし、ゆういちに「ノー」と言われたら失格になるとしたら?

なかなか質問できないね。
目先の失敗ができなくて、結局未来の正解にたどりつけないね。

では、もし、ゆういちに「ノー」と言われたら、質問した人の体に高圧電流が流れるとしたら?

急に、誰も質問できなくなるね。

このように、失敗の後に『罰』があると、失敗自体が怖くなってしまう。
本当は失敗が怖いんじゃなくて、失敗の後の『罰』が怖いのに。
そのうち、失敗しても『罰』がない大丈夫な状態なのに
失敗しただけで反射的に怖くなるよ。
失敗したら罰が来るって思いこんでしまっているんだ。

これって、ベルが鳴ったらエサをもらえると思っている犬に似てるね。
(これをパブロフの犬っていうよ。)
条件反射的に反応するようになっちゃう。

だから、PAOでは、失敗の後にどんな『罰』があるかを考えてきたよ。

前に出て話す時に何が怖いのか?

「聞いている人が怒り出すかもしれない」
「間違っているって言われてバカにされるかもしれない。」

怖いのはその『罰』なのに、それにつながる『話すこと』自体も怖くなってしまっている自分に気づくためなんだ。
だから、「こんなお客さんはイヤだ。」をやって、恐怖の元を笑い飛ばしながら
自分の思いこみに気づいていったよ。

失敗しても本当にOK?

PAOの約束の中で『失敗してもOK』ってあったけど、
失敗をOKにするというのは、とても難しいことなんだ。
だから急にはできなくてもいいけど、少しずつやれたらいいね。

ただ、みんなが『失敗してもOK』ってすぐに思えないのは分かるよ。
学校では間違えたら怒られるだろうし、
失敗がバレたら、うわさになって広まったりする。

失敗には 『罰』が付いてくるよね。
失敗すると罰があるから、それが怖くて、失敗できないし、 失敗してもバレないようにかくしたり、ごまかしたりするし、失敗しない範囲のことしかしなくなって、チャレンジできない。

どうして『失敗してもOK』にしたいかというと
失敗を恐れすぎると、失敗をさける準備をたくさんして
それが上手くいかない理由にもつながっていくからなんだ。

失敗をさける作戦?

失敗をした時の罰を怖がって、失敗しないように準備をすると、それに気をとられ過ぎて学ぶことが上手くいってないことがたくさんあるみたい。「間違わないかなあ?」「間違い がバレないかなあ?」「自分が最後にならないかなあ?」これらに一生懸命だと、学んでいる 余裕がなくなってしまうんだ。ついには失敗をさけることが上手になって、クセになってし まう。クセなので自然にやってしまうし、自分で気づけないし、周りにそれをやっている人 がたくさんいたらそれが普通だと思ってしまうよね。

PAOでは失敗しても罰はないし
失敗は成功への道の途中だってみんなが分かっているから
本当は安心して話せるはずなんだ。
でもクセで『失敗をさける作戦』をみんなでやり合ってしまうと
せっかくのいい場が悪い場に変わってしまう。

それでは、パラドキシカルラーニングをやっていこう。

いくつか失敗をさける作戦を並べるので
よくないことについて学んでいこう。

①相手の話を聞かずに、自分の発表の準備作戦。

これは国語の時間で教科書の文章を席の順に読んでいく時によくあるよね。
他の人が発表して読んでいる時に、自分が読むことになりそうな部分を先に読んでおいて、読めない 文字がないか確認したりする。
この時、他の人の発表をきちんと聞けてないよね。
これをやると聞くという学びができないんだ。

もし自分が発表すると考えたらどうだろう?
自分が発表しているのに、聞く側は聞いてくれてない。
となりと相談してる人もいる。
発表しにくいし、さみしいよね。
これをやる人が多いと、お互いに発表しにくい場ができるし、自分のことだけ考えて相手のことを考え ないイジワルな雰囲気になっちゃうんだ。
お互いに優しくしたいね。

PAOで準備の時間と発表の時間を分けたり
「相談をやめて、発表する人を見て」って 言うのは
そのためなんだ。

PAOでは、もし、前に出て発表する時に失敗したとしても
バツはないよ。
だから安心して発表してほしいし、聞く時は聞くことだけにしよう。

2.まだ本気出してないだけ作戦。

『だるい、めんどくさい、興味ない、やる気ない』
という感じで本気でやらないのも
失敗をさける作戦だね。

そもそもPAOはやりたい人だけが集まっているのに
そうなるのってちょっと変だよね。
でも、それは失敗したくないのでついやってしまうみたい。

もし、やる気満々で発表して失敗したら、失敗を認めるしかなくなるよね。でも、本気を出していないなら、発表で失敗しても「本気でやってないから失敗しただけ。本気でやればできたよ。でも、めんどくさいから本気出さないけどね。」ってできる。自分の失敗をごまかせるんだ。でもね、本気を出さないと上手くならないよ。

これは、大人にもあるんだよね。
学校にはお仕事につくための相談をする部屋があるんだけど
そこには『キミはまだ本気出してないだけ』って書いてあるポスターがよくはってあるよ。
ニートの人に「紹介するから仕事しよう」って呼びかけるポスターなん
だ。そういうポスターを見せられてドキッとするようにならないように子どものうちから本気を出していこう!

3.調子悪い作戦。

前に出て発表する時に、元気なく、自信のない感じで、立ち上がって歩いていく。これは発表で失敗した時の準備なんだ。つまり、見ている人に「この人は調子が悪いんだ 。上手くいかないだろうな。」と思わせておけば、もし失敗しても「ほら、調子悪いか ら失敗したでしょ。予想通り。」となって失敗したことが目立ちにくい。

逆を考えると分かりやすいんだけど、もし、自信満々で前に出て、その後失敗したら「自信満々のく せに失敗したぞ!」って失敗が目立つ。そうならないための準備なんだ。

でもね、これはいい方法じゃないんだ。自信がないスタートを切ったら
その様子に自己暗示がかかって、失敗しやすくなっちゃうんだ。

そんなきみに試してほしいのは、自信満々な演技をして前に行くこと。
背すじを伸ばし、前を見て歩き、前を見て立ってみよう。
ふしぎなことにできるような気がしてくるんだ。
体と心はつながっているので、姿勢や身体の動きを変えるだけで
気持ちが変わってくるよ。

ここで、心と身体がつながっていることがよく分かるワークを紹介するよ。

2種類の姿勢で、2種類の文章を話してみよう。
どんな気持ちになるかな?

①猫背で 「あ~わたしはダメなやつだなぁ~」
②猫背で 「はい。わたしに任せてください。」
③胸を張って「あ~わたしはダメなやつだなぁ~」
④胸を張って「はい。わたしに任せてください。」

どうかな?①と④はしっくりきたんじゃないかな。
逆に②と③は、なんか変な感じがしないかな?

猫背で自信のある言葉は言いにくい。
胸を張って落ち込めない。
こんなふうに心と身体はつながっているんだ。

だから普段の姿勢も気を付けたいね。
猫背にして いると、悲しいことがなくても
自信がなくなったり、暗い気持ちになってしまうよ。

竹中直人という俳優さんは
昔『笑いながら怒る人』というのをやっていたよ。
とても難しいけどおもしろいので
みんなもやってみよう!

4.だまって待つ作戦。

ずーっとだまって状況が変わるのを待つ作戦だよ。例えば、だまっていると「じゃあ、これならわかる?」って簡単な問題にしてくれたりするので、分かる問題になったら答えればよくなったり。または、だまっていたら、誰かが代わりに答えを言ってくれたり、自分の代わりにやってくれたり、「もういいわ」って言われてやらなくてすんだりすることもある。自分は 話さなくていいし、話すのも相手に合わせることができるので間違わなくていい。

この方法は、怒られている時に発明されるのかもね。怒られている時に、何を言っても怒られるって時があったりするけど、その時何も話さないで待つのが安全だって気づくんだ。 そして「反省の色がない。」って言われたら、悲しそうな顔をしておく。でも、そんなことに気を付けてばかりいるから肝心の聞いている内容は入ってこない。やらない方がいいよね。

PAOでは、だまりこんでいる人に、無理に話すようには言わないよ。少しは背中を押すけど、自分のタイミングでやってみてほしいな。

5.相手のせい作戦。

発表の後で「組んだ相手のせいで上手くいかなかった。」って言ってしまうことだよ。相手が悪かったことにすれば、自分ができていないことをごまかせるから。

でもね、これをして自分のせいでなくなると、自分は直さなくていいので、成長できないよね。それに、自分のせいにされるのは誰でもイヤなので、組んでくれる人が減っちゃうよ。

「相手のせいにしないで。」って言ったら、今度は、「相手が調子悪そうな顔してたから。」 「困ってそうだったから。」って、相手を気づかった感じで答えるようになるんだけど、やっぱりこれも相手のせいにしてるよね。

失敗してもバツはないんだから、相手のせいにしないで自分の失敗を認めていこうよ。 そうすると、失敗するたびに「こうすればいいよ。」って教えてもらえるよ。その分、上手に なれるよ。

⑥悪いお客さん作戦。

以前「良い競争をしよう。」って書いたね。相手のジャマをして相手が失敗することで勝とうとするんじゃなくて、相手を応援して、ベストな相手に勝つという競争をした方がいいね。

でも、自分に自信がないとそれができない。
「自分がビリになったらどうしよう?」
「みんなが上手くいったら、自分の失敗が目立ってしまう。」
そう考えてしまうと 相手をジャマせずにいられない。

でも、こっそりジャマしたい。
ジャマしても目立たないのは、お客さん役の時なんだよね。
たくさんの人の中に紛れ込むことができるし、
みんなは話している人を見るから自分は注目されていないから。

そこで相手が話しにくくなるようなお客さんになって
話す人が 話しにくくなって失敗してくれるのを待つんだ。

でも、これをやっても意味ないよね。
だって、他の人が失敗したからといって
自分が上手くなるわけじゃないから。
上手くなったような気がするだけだからね。

PAOでは『悪い競争』や『悪いお客さん』についても学んだから
この作戦をしている子はどんどん減ってきているように見えるよ。

子どものうちに直しておこう。

どうだったかな?
『失敗をさける作戦』は、とてもたくさんあったね。
でも、この作戦について話すことってあまりないんじゃないかな?
でも、ゆういちはこの作戦のことを話して
意味がないからやめようって言うよ。
そうしないとやめられないんだ。

例えば、国語の時間に席の順番に読むところを当てていく時に
他の人の発表を聞かず に準備している子がいることに気づいた先生は
急に席の順ではないところを当てはじめたりするよ。

そしたら子ども達は次はそれに対する作戦を生み出すよ。
だからいつまで たってもこのだまし合いが終わらない。
それを繰り返すんじゃなく、作戦自体をやめよう。

でも、その作戦は失敗への恐怖から来ていることが分かっているので
それができるよう に、PAOでは失敗しても大丈夫な場所を作っていくよ。
そして、みんなは失敗しても大丈夫な自分、
失敗を恐れないでチャレンジできる自分を作って
PAO以外でも表現できるようにしていこう!

『まだ本気出してないだけ作戦』の時に書いたけど
これらの作戦を使っている大人も多いみたい。

意外だと思った人もいれば、
そうだよね、って思った人もいるかもしれないね。
大人がやっているのを見て、やっていいんだと思ってやっている人もいるかもしれないね。

この作戦を大人になっても続けている人は
やめるきっかけがなかったんだろうね。
または、みんなやっているだろうから
やめる必要がないと思ったのかもしれないね。
または、それで得をすることの方が多かったから続けているのかもしれないね。
そして、年齢を重ねるほどに、習慣になってやめにくくなるんだ。

大人になった時にどうなっていたいかは、今のきみが決めたらいいと思うよ。

それでは、次へ。

次は…
「②何度でもチャレンジしよう!」

②何度でもチャレンジしよう!