③うわさ話、かげくちを言わない。

もしも、せっかく勇気を持ってみんなの前に出て話したのに
聞いてた人に後からこそこそとかげぐちを言われたり、バカにされたりしたら傷つくよね。

実は「話すのが苦手」という人の多くが「苦手」と感じるものの一つに
聞いている人の反応があるんだ。

話そうとした時に
「話した後に、また笑われるんじゃないか。またバカにされるんじゃないか。」
と想像して、怖くなって話せなくなってしまう。
それが積み重なり「苦手」と感じるんだ。

ちょっと、考えてみてほしいんだけど
自分が話している時以外って何をしているだろう?

そう、相手の話を聞いている。
つまり、自分が話す役の時以外は、相手の話を聞く役なんだよね。
その時に、相手が話しにくい聞き方をしていないか考えてみよう。

もし、全員が聞くのが上手ければ、全員話しやすくなるはずだよね。
お互いが話しやすくなるように、聞き上手になろう。
その一歩目が「うわさ話、かげぐちを言わない」だよ。

かげぐち

PAOの約束の中の「かげぐち、うわさ話をしない」だけど、みんな守ってくれているようでうれしいよ。まあ、「かげぐち」は「かげ」でするものだから、表からは分からないんだけどね。ただ、かげぐちが好きな人達が集まる場所には独特の暗さや、雰囲気の悪さがあるんだけど、今のところそういう感じはしてないかな。これからそうならないために、もう少し考えてみよう。まずは「かげぐち」から。

人前で発表できないという子ども達の理由の一つに『かげぐち」があるよ。

例えば、A君が勇気を持って前に出て発表したとする。
その後で、発表を聞いた子達の誰かが、
A君のことや話の内容をコソコソとかげぐちを言ったとする。

かげぐちを言われたことを知った、または感じたA君は、
かげぐちを言われるのがイヤだから、
次からはかげぐちを言われなくてすむような、
あたりさわりのない発表をするようになるかも。
または、はっきり話さなくなるかも。
または、もう、発表しなくなるかも。

自分のかげぐちを言われなくても、かげぐちを言っている人を見た時にこう思うよね。 「この人はぼくがいない時には、ぼくのかげぐちを言っているのだろう。」かげぐちの雰囲気を感じた時に、自分がかげぐちを言われることを想像するよね。

だから、自分が言われたかどうかじゃないんだよね。だから、コソコソかくしごとをしている感じとか、ヒソヒソ話があったりするような暗い雰囲気があると「あ、ここでは、かげ ぐち言われそうだな。」って想像しちゃう。
かげぐちを言われることを気にし過ぎると、自分の意見がはっきり言えなくなるね。
後から言われないような内容に変えちゃう。例えば・・・

・みんなが言っていることと同じことを言う。
・あいまいにする。
・はっきり言葉を決めないで、誰にも悪く言われないようにする。
・誰かに気にいられるようなことを言う。

そういうふうに話す人っているよね。でも、その人達はもう『かげぐちをさける作戦』をしてるってことなんだ。本当は、自分の意見を言いたいし、ハッキリ話したいんだけど、誰かがかげぐちを言うんじゃないかってビクビクしててそうなってるんだ。

かげぐちってどんな人が言うんだろう? なんで言ってしまうんだろう?
かげぐちは悪人がするのかな?そうとは限らないみたい。かげぐちは弱い人がするんじゃないかっていう考え方があるよ。

『かげぐち』は、面と向かって言えないことを、相手がいない『かげ』で言うことだよね。 もし、面と向かって言えるんだったら、『かげ』で言う必要がないよね。かげぐちは、1対1で面と向かって話して負けた、または初めから面と向かって話すこともできないという 『負け』からスタートするんだ。負けた時に、くやしいと思って、次から話せるようにがんばろうとする人もいると思う。でもそうしない、そうできない人が、なんとか勝ちたいと思って『かげ』で勝つことでしかえしをするんだ。

『かげ』、つまり、相手がいない場所なら勝ちやすい。相手がいないので、自分が話している時に相手が言い返して来ることもない。自分の思ったように、自分のいいように話すことができる。そして、『かげ』で『ひとり言』を言うわけじゃなくて他の誰かに話す。それは、自分の味方になって話を聞いてくれる人だからさらに勝ちやすい。こうすることで、相手のいない所で、『相手一人 対 自分たち二人以上』の形ができて人数でも勝てた。また、『かげ』 で言っていることは相手は知らなくて、(当たり前だけど)かげぐちを言っている方は知っている。『知ってる 対 知らない』という点でも勝てた。こうやって『かげ』で勝つことでしかえしをするんだ。

このように、『かげぐち』は、弱い人が勝ちたい時の戦い方の一つなんだ。

①相手が不利な状況
②1対複数
③知っている知らないとなどの差

これらを使って勝ちに行くんだけど、この形『いじめ』に似てるね。『かげぐち』はいじめの一つだと思うんだけど、そう思っていない人もいるみたい。みんながやっているからいいって思うのかもしれないね。

自分がかげぐちを言う側だったらどうかな? かげぐち好きな人って話すのが上手なのかな? 実はそうじゃないような気がする。なんでかって言うと

「これ話そうかな? でもやめとこう。かげぐち言われるかもしれないし。え? 誰が言うかって? オレみたいなヤツがいて言うかもしれないだろ。」

自分がやっているから、人からされるんじゃないかっていう想像がわくんだよね。

さて、『かげぐち』のスタートに戻ると『面と向かって言えない』だったね。自分の意見を相手に向かって言えるようになってみよう。もし『かげぐち』を言いたくなったら、それはチャンス。自分はそこで相手に負けたんだ。どうやったら相手に伝えられるのか考えてみよう。
かげぐちを使わずに。

うわさ話。

うわさ話の何が悪いんだと思う人もいるかもしれないね。確かに、ある人達にとっては コミュニケーションとして必要なのだと思う。特に初対面だったり、お互いにコミュニケー ションが苦手だという場合は、うわさ話は役に立つみたい。お互いに理解できる共通の話題や、誰かの失敗した話などは、面白く感じるだろうし、間が持つね。

うわさ話は、うわさをされる人が必要だよ。その人の失敗とかをみんなで楽しんだり、 バカにしたりすることが、うわさ話に含まれると思うんだ。うわさ話をされた人はやっぱりいやだろうと思う。

そして、うわさ話をされないように気を付け始める。うわさ話のネタを提供しないように気をつけ始めるんだ。そうすると、失敗をしないように気を付ける。失敗しないように、 失敗しやすい初めてのことをしなくなる。つまりチャレンジしなくなる。そうやって行動が小さくなっていくんだ。

よく引っ越しをする人もいれば、生まれてからずっと同じ町で生きていく人もいるよね。 生まれてから大人になってもずっとその町で生きていく場合、例えば、子どもの頃にした失敗をいつまでも他人が覚えていて、うわさ話のネタにし続けることもあるみたい。一度失敗してしまうと、自分は忘れても、他人が忘れてくれないんだ。失敗したら、うわさが広まって、笑いものにされて、いつまでも言われるという罰が付いてきちゃう。そうすると、失敗を恐れて、チャレンジをしなくなっちゃう。

うわさ話には、「かげぐち」がふくまれている。だからおもしろくて、うわさしてしまうんだろうね。誰かの失敗を笑うことで、自分が上になったような気がするからかもしれな いね。
かげぐち、うわさ話を言わないという場所ができたら、失敗を恐れずチャレンジできる場所、お互いに表現しやすい場所ができるんじゃないかなって思うよ。

それでは、次へ。

次は…
「④いい形の競争をしよう。」

④いい形の競争をしよう。