否定されそうなときは?

自分と違う意見を持つ人に話をする時は、
否定されたり、バカにされたりしそう。

では、どう話せば受け入れてもらえるのだろう?
いくつか考えたよ。

①共通点から話す。

お互いに似ているとか、趣味が合うとか、
『同じ』だという安心感を相手に感じさせてから、
違うところを話していこう。

実は、相手が否定してくる理由の一つは、
急で、びっくりしているってこと。

つまり、話が急すぎると、
相手が話についていけなくてビックリしたり、
反対意見を急に言われて、否定されたと感じているんだ。

だから、まずは、お互いが共感できる話からしていって、
だんだん違う意見を言ってみよう。

②自分から相手を否定しない。

自分の意見を主張するために、
相手の意見を否定して自分の意見を押し付けてないだろうか?

そうされたら、たぶん誰でもイヤじゃないかな?
「否定されたからお返しに否定する」
ってなってるかもしれないね。

自分が誰かを否定して話していないか
ふりかえってみよう。

どうかな?

2つ考えてみたけど、どうかな?

自分がされたいことを、自分から先にやってあげるのがいいみたい。
だって、自分が話す時以外は聞き役なんだから。
お互いにそれをすれば 自分が話す時に相手も同じようにしてくれると思う。

でも、実際、否定をしないで受け入れることが難しいと感じる人も多いだろうね。
ついうっかり否定してしまう。
もう息をするように否定をしちゃう人もいる。

これはね、仕方のないことなんだ。
なんでかっていうと、
否定は、人間が誰でも持っている安全に生きていくために自分を守る方法だからなんだ。

例えば、
なんでもかんでも受け入れていたら、
悪い人にだまされるかもしれない。
何でもかんでも受け入れていたら、
駅前を通ったら、もらったティッシュでいっぱいになるし
宗教にさそわれて、いろんな宗教に入ることになってしまう。

否定は、安全に生きるために、自分を守るために、みんなやっていること。

あれ?
でも、人によって違いがありそう。

「Yes」と言うのが好きな人と、「No」と言うのが好きな人がいる。
「Yes」と言う人は冒険を手に入れ、「No」と言う人は安全を手に入れる。
「No」と言う人の方が「Yes」と言う人よりも、はるかに多い。
しかし、一方のタイプの人をもう一方のタイプの人のようにすることはできる。

これは、インプロ(即興演劇)の世界的な指導者キース・ジョンストンの言葉だよ。
何事もなく安全に生きていきたい人は「No=否定」を選ぶ。
否定をすれば、自分は変わらなくて安心だから。
受け入れると他の人と関わらなければいけなかったり、
自分のやったことないことをやらなければいけなくなるかもしれない。
だから、ずっと否定を続けて 自分が変わらないようにする。

まるで、鎖国をしていたころの日本のように。
外国の船が近づいて来たら大砲で打つように。
この『大砲』が『否定』だよ。
否定をすることで 自分を守るんだ。

「Yes」と言うのが好きな人もいるよ。
その人達がなんで冒険を手に入れられるかというと
「Yes」 するものは、自分が知ってたりやったことがあることだけではなく
自分が知らないこと、やったことないことだったりするからなんだ。
自分の予想のつかないもの=未知のものを受け入れるのは、
何が起こるか分からなくて、怖いよね。
でも その反面、ワクワクがある。
それが冒険なんだ。

日本が鎖国をやめて開国をしたら、
はじめは何が入ってくるのか、どうなっていくのか怖いし不安だけど、
見たことのない西洋の文化にふれて、その楽しさを体験できる。
これは冒険だね。

もし、きみが「No」を言う人なら「Yes」と言う人になってみてはどうだろう?
キースが言うように、もう一方のタイプになることができるのだから。

「No」を言うことがなかなかやめられないのは、
自分を守る習慣がついているからなんだ。
知らず知らずのうちにやってしまう『クセ』のようなものだね。
これはトレーニングすることで変えていくことができるよ。

YESするトレーニング。

二人組で、旅行に行く計画を立てるよ。
4つのやり方で試してみよう。

①Noバージョン。

Aは遊びに行く提案をし、Bは必ず「イヤだよ。○○だから。」と返すよ。
AはBが否定してくるけど、Bの理由を受け入れて次の提案をするよ。

A「遊園地に遊びに行こうよ。」
B「いやだよ。外は花粉が飛んでいるから。」
A「じゃあ、家の中にいようか。」
B「いやだよ。家の中はつまらないもん。」

これだと行き先が決まらないどころか、遊びに行くことさえできないね。
このBの聞き方が、後で出てくる悪い聞き方だよ。
相手の話を否定して、自分の意見を押し付けてくる感じ。
話しにくいし、話す気がなくなってくるよ。

②YESバージョン|

Aは旅行に行く提案をし、Bは必ず「いいねえ。」とだけ返すよ。

A「遊園地に遊びに行こうよ。」
B「いいねえ。」
A「じゃあ、写真たくさん撮ろうか。」
B「いいねえ。」

Bが受けれ入れてくれるから、Aは話しやすいね。
このBの聞き方が、いい聞き方だよ。
同意して、うなづいてくれるので、話がしやすいね。

でも、Bからは意見が返ってこないから、
Aはアイディアを出すのが大変になってくる。

③YES ANDバージョン

Aは遊びに行く提案をし、Bは「いいねえ。じゃあ、○○しよう。」と返すよ。
AはBの答えに「いいねえ。じゃあ、○○しよう。」と返し、
それを繰り返していくよ。

A「遊園地に遊びに行こうよ。」
B「いいねえ、じゃあ、写真をたくさん撮ろうよ。」
A「いいねえ、じゃあ、そのために、映える服でそろえようよ」
B「いいねえ、じゃあ、その服を買いに行こうよ。」

こうすると、アイディアがどんどん、ふくらんでいくよ。
そして、受け入れて一つ返すだけだから、お互いはそんなに大変じゃない。
そして、一人では思いつかなかった、思いもよらないアイディアにたどりつくこともあるよ。
お互いにYESをして進んでいくから 未知の世界に行くことができるんだ。
これは楽にアイディアがふくらんでいく方法だよ。

④YES BUTバージョン

Aは遊びに行く提案をする。
Bは「いいねえ。」と一度受け入れるけれど、
その後、 「でも、○○。」と反対意見を返す。
AはBの答えを受け入れ「じゃあ、○○しよう。」 と返す。
それを繰り返していくよ。

A「遊園地に遊びに行こうよ。」
B「いいねえ、でもあまり天気よくないよ。」
A「そうか、じゃあ、遊園地はやめて水族館に行こうよ。」
B「いいねえ。でも前にも行ったことあるよね。」

Bは「いいねえ。」と言っているけれど、
Aのことを受け入れてはいないみたい。
そもそも、Aと一緒にどこかに行くというスタートのところから
受け入れていないのかもしれないね。
このように、一見、受け入れているように見せかけて否定をしていることも
たくさんあるよ。

どうかな?


このようにトレーニングをしてみたけど、どうだったかな?
ゲーム形式になっていることで、普段できないことも、遊んでいるうちに、できる時が増えていくよ。

もし、相手と話している時に、『違い』が生まれてきたら?
まずは、きみの方から 相手との違いをYESしてみよう。
相手もYESしてるかもしれないし、YESAND してくるかもしれないね。

『違い』があった時は、否定し合ったりするんじゃなく、
違いを受け入れ合って、違いを活かし合ったり、
楽しみ合っていきたいね。
そして、お互いに受け入れ合えるという安心感があれば、
もっと話しやすくなるよ。

ここまで「違い」について書いてきたけど、どうだったかな?
違いが分かったところで、いよいよ、話すことについて考えていこう。

それでは、次へ。

次は…
「『話すこと』について考えてみよう。」

第6章 『話すこと』について考えてみよう。