『苦手』っていったい何だ?

PAOには『話すのが苦手』という子たちが、
たくさん集まってきてくれているよ。

『苦手』だからこそ『上手』になりたいし、
そして『好き』になって、
いつか『得意』になりたいね。

でも、ちょっと待って。
『苦手』ってどうやって決まるんだろう?

例えば『漫才が得意』だったら、
『M1グランプリで優勝した』ってなれば、
『漫才が得意』が決定するね。

でも、きみは、
『話すの苦手グランプリで優勝した』
というわけでもないよね。
(そんな番組はない!)

どうやって『苦手』って決定したんだろう?

『苦手』っていったい何だろう?
誰かにそう言われたの?

一番よくないのは、苦手だと思いこんで、
話す機会から逃げているうちに、
本当に話せなくなってしまうことだよね。

そうなる前に考えてほしいんだ。

いろんなことは分解していくと分かったりするよ。
まずは、『苦手』を分解して、
苦手について考えていこうと思う。

分からないことは人に聞くといいよね。

ということで、まずは大人に聞いてみたよ。

大人の『苦手』の例。

ゆういちが講師をしている芸能専門学校の生徒さんに聞いてみたよ。
みんな声優を目指す20代の元気な若者だよ。

①Aさん(男性)の場合。
「話すのが苦手だと感じはじめたのは、小学校低学年のころ。
国語の時間に教科書を読むのが苦手だった。
読めない漢字がないかとか、読み間違えないかと心配だった。」

②Bさん(男性)の場合。
「ものごころついたころから話すのが苦手やったなあ。
小学校よりもっと前からかもしれん。
みんなと違うことを言うてしもたらどうしようかと思て
1番目に発表することができんかった。
2番目より後ならなんとかいける。
前の人のマネをしとけば、みんなと違うことを言わんですむから。」

③Cさん(女性)の場合。
「話すことはもちろん、人前に出ることも苦手。
小学校の時の学芸会でピーターパンをやることになったんだけど、
ヒロインのウェンディーは女の子たちが役の取り合いをしてケンカになるから、
私は一番人気のないかいぞくの役に手を上げたの。
みんなは私にウェンディーをやらせようとするんだけど、
私は絶対にいやだったから断ったの。
そしたら、先生がお母さんを学校に呼び出したりして大さわぎになったの。」

彼らは、声優を目指しているので、
当然、人前に出るし、人前で話すことが仕事になるんだけど、
話すのが苦手だって言ってる。
「話せるようになりたい」のに「話すのが苦手」。
Cさんは、話すだけでなく、人前に出て注目されることが苦手。
「人前で表現したい」でも「人前に出て注目されると困ることがある」。
まさに18ページくらいに書いたことがあてはまっているね。

そして、話すのが苦手な大人は、
だいたいは子どものころからずっと苦手なんだ。
だから、子どものころに『話すことが好き、話すことが得意になる』ってことが大切。
きっと、その後の未来が大きく変わると思うから。

どう苦手なんだろう?

さて『話すのが苦手』って、どういうことを言うんだろう?

さっきの場合だと、
Aさんにとっては、文章を読み間違えてしまうこと、
Bさんにとっては、みんなと違う意見を言ってしまうこと、
Cさんにとっては、注目を集めてみんなにいろいろ言われてしまうこと。

一口に『苦手』と言っても、人それぞれ苦手の形が違うみたい。
きみの言う『苦手』はどういう苦手なんだろう?

たぶん「100パーセント苦手!」とかではなくて
「これは苦手だけど、これは得意」というふうに
バラけていないかな?

例えば、

「勉強の話は苦手だけど、趣味の話は得意。」
「大人に話すのは苦手だけど、子どもに話すのは平気。」
「みんなの意見に合わせるのは苦手だけど、自分の意見を言うのは得意。」

それでは、苦手を分解するために、
次の4つに分けて考えてみたいと思う。

「いつから苦手?」
「苦手になったのはどんなことがあったから?」
「どんな内容の話をするのが苦手?」
「誰に話すのが苦手?」

それでは、次へいこう。

次は「聞き方改革。」だよ。