2018年8月18日、第4回目の講座を開催しました。
名前コール
みんなの声がどんどん大きくなってきて嬉しいです。相手に対して、意識も飛び始めました。
りんごかもしれない
これ何?というインプロのゲームをまずしました。朝イチでまず動いて声を出してコミュニケーションをしっかりとっていきます。これがちょっとした私の仕込みです。一人が「これ何?」と指さし、もう一人がすぐにその物の名前を答える。「検閲」をしていなければ、すぐに言葉は出たはずです。
そして、そのあと「りんごかもしれない」を読みました。「かもしれない」これが魔法の言葉。
本を読むのも、お芝居をするのも、「かもしれない」は大切です。他者と共存していくためにも必要だと私は思っています。「かもしれない」と思えば、自分だけの間違った思い込みや自分のモノサシ以外の観点が持てるからです。そのためにも、この本を使いました。「りんごに決まっている」と思ったら、そこで世界は終了。「かもしれない」の面白さを皆さんで感じてもらえたらいいな。
そして、この本のあと本を読む前にやった「これ何?」というゲームをもう一度しました。しかし今回は、「水の中」「ジャングルの中」という場面と「隊長と隊員」という設定をプレゼントしました。「もしここが○○だったら」「もし自分が○○だったら」お芝居をするための練習でもあるし、対人感受性を育てるため小さいステップでもあります。
そしてもう一つの今回のワークショップの大切なテーマ「相手が生み出した表現を大切に受け入れ楽しむ」ということもしています。隊長(答える方)がどんな答えを出しても、隊員が「いいね!」「素晴らしい!」と伝え受け取ることで、表現しやすくなったと思います。
ピンクのれいぞうこ
同じ流れが続き、主人公に派手さがないため、読み方によっては単調になりやすい作品だと思います。しかし、とてもいい本です。
物語の魅力の一つは、主人公が「最初から最後にかけて成長(変化)していく姿」を見られることです。この本は、主人公ドズワースが変わっていく姿を見ることができます。表情がよくなっていき、ガラクタ置き場に行くスピードが上がり、感情が動きはじめ、能動的になっていく。なので、読むときもそのあたりを表現して読むように心がけています。
また、ストーリーの続きを読み手に委ねているところも魅力の一つです。この本を使って「冷蔵庫に入っているものを当てるゲーム」みたいに楽しむこともできますが、今回はこのお話の続きを創造していくことを楽しみました。
お話の続きを作る
自分一人で作った、自分だけのストーリー。これは「こうなるかもしれない」「自分だったらこうしたい」という「私」の世界を作れたということです。自分を信じ、大切にできるから、お話が生まれてくるのです。まず自分で楽しんで作り、それを自分にとって安全な相手(保護者)に話し、参加者によってはそれをみんなの前で発表できた。この成功体験は、自己肯定感をUPさせてくれると思います。同時に、その体験をいいものにできたのは、聴き手の方々が、耳を傾け、視線を向け、心を繋ぎ、しっかり応援してくれたからです(もちろん今の段階では全員とはいえませんが・・・)。
お話の続きを作る「ワンワード or シェアードストーリー」
一人で作るというより少し難しい「二人で作る」にチャレンジ!ワンワード(1文節ずつ)、シェアードストーリー(1文ずつ)、どちらを使ってもよいので二人で協力して、自分との違いを楽しみながら、お話を紡いでいく。どちらかがコントロール的だと、楽しくないし、魅力的じゃない。自分との違いを面白がって、大切にして、協力し合えたら、とても楽しい時間になったと思います。正しさを求めすぎたり、相手を否定してしまうと、苦痛な時間になります。
これも親子で発表できたことに感動しました。その場で相手を受け入れていく姿を目の当たりにして、皆さんも何か感じてもらえていたら嬉しいです。
一文字お手紙
最後に、ひらがな、カタカナのみを「1文字」だけ書いて、続きを相手に委ねながら書いていくお手紙。参加者ご家族が「最後の方でやっと日本語になった!!」と喜んでいる姿を見て、ステキだと思いました。
どうしても大人は「正しさ」を求めがちです。口に出さなくても、普段の生活、またはその場でそれが強い人は、なかなかうまくいきにくいワークでもあります。
ルールは大切です。ルールを守るから、その中で自由に遊べる、と私は思います。無秩序の中で自由に遊ぶのは、かなりの力がいるような気がするのです。
でも忘れたくないのは「お互いが自由になるためにルールがある」のであって、「ルールでお互いが不自由になる」のは残念なことです。相手が困っていたら、2文字書いてもいい。その時に相手が「ありがとう」と思えば成功だし、「書きたかったー!」となったら今回は失敗しちゃったということで「良かれと思ってしたけどごめんね」となればいい。人それぞれ考え方も違うし、スピードも違う。そこを楽しみ合いながら、協力し合うことを大切にしています。
前半でお伝えしてきた考え方や大切にしていることは、ずっと同じです。
後半、それらを忘れずにみんなでワークできたらいいですね。
特定非営利活動法人まねきねこ
中和 沙世子