ハットゲームとは?
帽子をかぶった二人でシーンをします。シーンの最中、相手にスキがあれば、相手の帽子を取ります。そして、相手に自分の帽子を取られそうになったらよけます。この時手で防いでもいいです。このチャンスは一回だけです。
勝ち=帽子を取った。または、帽子を取られそうになってよけた。
負け=帽子を取られた。または、帽子を取ろうとしたらよけられたり、防がれた。
気を付けること
安全に行なう
・顔の前から手を伸ばすと、目を突く危険性があるので、帽子は横の方から取ります。
・シーンを行なう前に、帽子を取る練習をしておきます。
・相手を見ていない状態で帽子を取ろうとしてはいけません。相手を必ず見てスキを見つけて取ります。
フェアな状態を作る
並んで座った状態でシーンを始めます。動くことができる状態だと、距離が離れたり、後ろに下がったりしてしまいます。また立つと身長差がある場合はフェアではなくなります。
身体的に欺かない
肩を組んだり、手を握ったりして、相手を身体的に動けない状態にしたり、
自分にひざまづかせたりして帽子を取ってしまうと、ゲームの趣旨が変わってしまいます。
美容室で頭を洗う、強盗を縄で縛る等・・・
身体的に不利な状況になったら、一旦帽子を脱ぎ、安全な状態になったら帽子をまた被って再開します。フェアな状態で、危険が50%ずつあるからおもしろいのです。
このゲームで大切なこと
シーンを演じながら、相手のことを感じることができているか。
「今、ここ」に存在できているか、が大切です。
相手を良く見て、相手をよく感じながらシーンをしましょう。相手が何かをやろうとして考えた時に、この場からいなくなります。その瞬間にスキができますので帽子を取ります。
相手を演技の世界に没頭させるような働きかけをするといいでしょう。
また、相手を心理的なトリックにはめることはしてもいいです。
「僕たち、出会って何年だっけ?」というふうに。
リスクを負う
帽子を取られないようにばかりしていると、シーンが上手くいきません。帽子を取られるリスクを負いましょう。でも、帽子には注意を払います。取られることを怖がっているのではなくて、気を付けている状態になります。帽子を取られる未来を恐れるのではなく、今の、一瞬、一瞬に集中します。
安全な状態に留まらずに、リスクを負いましょう。危険な状態を継続し、緊迫感を継続させましょう。俳優の方にリスクのある状態がないと、観客もハラハラしてみることができません。ストーリーとしても、主人公がピンチになって、どうなるか分からない状態になるから、お客さんの興味が惹きつけられるのです。
勝とうとしない。
勝とうとしすぎたり、負けないようにし過ぎると、シーンがつまらなくなります。自分の身を守るために安全なチョイスをしたりします。自分が安全なままで、相手を不利な状況にさせようとすると、相手はその危険を感じて警戒をするので、なかなかスキができません。勝とうとするとなおさら勝てない状況になるのです。自分も危険な状態に入っていって、リスクを負ったほうがいいです。
相手を見る
相手をよく見て、帽子を取りましょう。「相手がこうしたら取れるはずだ。」という思い込みで帽子を取ろうとしないようにしましょう。「肉眼で見る」という意味ではなく、「相手を感じる」「そこに存在するそのままの相手を見る」ことが大切です。
このゲームで期待される能力
このゲームではいろいろな力が鍛えられます。
・今ここに一瞬一瞬いて、その場のいろいろなことに気づく力
・相手を演技に没頭させるようにオファーをして、シーンを動かしていく力
・リスクを冒して自分の身を危険にさらす力
キースは、このゲームを毎日やってくださいと言っています。やればやるほど上手くなるそうです。また、ハットゲームが得意な俳優はいいインプロヴァイザーである可能性が高いそうです。
参考文献:Impro for Storytellers
キース・ジョンストンのインプロ―来日ワークショップの記録
即興し始めたニッポン人〈2〉ゲームで実践!「つながり」「変化」「正当化」―キース・ジョンストンのインプロ