2016年10月10日、15周年記念公演「▼Under-G-Land!」を開催しました。

15周年記念の夜の公演は、大人の時間をプレゼント。
ナンセンスなモノや過激なモノも楽しめる
大人のためのちょっとHな公演です。
この公演は一見さんお断り!
「まねきねこ☆のインプロ公演を観たことがある」という方限定、
15歳未満は入場不可というかなりマニアックな公演でした。

恒例のドレスコードは「大人 or 寒色 or セクシー or 露出多め」でした!
テーマは「シタムキサンカク アンダー グ ランド」と読みます。
この回では、アンダーグラウンド、つまりアングラがテーマです。
アングラと聞くと、白塗りをして踊る人たちのことをイメージするかと思いますが、
彼らが現れた当初はアングラ、つまり前衛的、実験的と呼ばれていましたが、
今は認知されたのでアングラではもうないのです。
では、今のアングラは何かというと、今の時点でまだ認知されていない、
気持ち悪い、面白いかどうかすらわからないもの、
それが、アングラだと思うのです。
そんな感じでやっていきたいと思っています。
観ている内に気持ち悪くなっても、面白さが分からなくても、責任は取りません!

動画でふりかえる「▼Under-G-Land!」

お客様の「ヒドイ店員さんの対応のお話」を元に「クレーム対応」をテーマにシーンを作りました。

まねきねこ☆のインプロTVにて公演を振り返っています。

写真でふりかえる「▼Under-G-Land!」

今回は、脚本芝居も上演しました。
ゆういちが大学生のころによく観ていた大人計画の作品です。

「点と線」
脚 本:松尾スズキ
演 出:仲野雄一
演出補:中和沙世子
出 演:仲野雄一、泉澤浩之、中和沙世子(声の出演)

ゆういちからのごあいさつ。(当日パンフレットより)

みなさん、こんばんは。ゆういちです。

まねきねこ☆の15周年記念の日にお集まりいただきありがとうございます。

15年前の今日、まねきねこ☆はインプロのユニットとして東京でスタートしました。
その時は僕を含めたメンバーの誰もが、普通のインプロをやっていくんだろうなと思っていました。

しかし、メニューを考え、構成を考え、演出をしていくうちに、
だんだん、海外から入ってきたインプロとは違うものになっていきました。
だんだん、キース・ジョンストンが言っていることとは違う解釈が生まれてきました。

それじゃだめだよなぁ、とか思いながらやっていましたが、ある日、
「他の団体がしっかりまじめにインプロを踏襲してくれているから大丈夫。
ちゃんとしたインプロを観たい人たちはそちらに行ってもらおう。
だから安心して、僕たちは自分たちの好きなようにやっていこう!」
と思い、自分たちの進化をはじめました。

第3回目の公演から、毎回テーマがありました。
普通のインプロだと「即興なのに公演にテーマなんかあったら自由じゃない。」なんてなるんですが。

そのテーマは、「作品の」というよりも「人の」テーマです。
いくらそのテーマに沿ってシーンやゲームを選んだとしても、
人が同じだったら、同じです。
人を入れ替えるのではなくて、同じ人の状態を変えていきます。
その時の人の課題がもとになってテーマを決めていきました。

2002年の第3回目の公演のタイトルは「MUSECAL」でした。
(綴りをまちがったままタイトルにしていますね。)
僕は当時、歌が大の苦手で、人前で歌うことが全くできませんでした。
鼻歌すらも歌うことができません。
そんな僕自身に僕が課題を課しました。
「即興の歌だけの公演をしろ」と。
何とかその公演を終えて、お客さんからは
「ゆういちのおかげで勇気が出たよ!」
と言われました。
「ああ、歌が上手いとかという言葉より、こっちの方が嬉しい。」
そう感じました。

2003年の僕の誕生日には、僕がほぼ一人で演じる公演をしました。
タイトルは「NUDE」です。
その頃の僕は、俳優をやっているにもかかわらず「恥ずかしい」という感情に
囚われることがとても多かったです。
そこで、心を裸にすることを課題にしました。

このように、自分たちの成長をお客さんが見守るという、AKB48のようなことをやっていました。
その頃は、AKBがなかったので、「例えるなら、たまごっちみたいなものかな?」と言うと、
お客さんが「つまり、なかのっちってこと?」と返すというやりとりがありました。
ぜひみなさんも、まねきねこ☆の成長していく過程をお楽しみくださいね。

6月からの月イチ公演でも課題がありました。

6月の「新しいけど、なつかしい。」では、
「自分の持っているものを出すこと、自分の中に眠る、まだ生かされていないものを使うこと。」
が課題でした。
7月の「すきスキ好き」では、「好きという感情を表現すること、好きな人に好きと伝えること」。
8月の「Super Hard」では、「自分の中の強さを生かす、対立することを恐れず自分を表現すること」。
9月の「天使と悪魔」では、「普段見せていない自分の持つ顔を使うこと」。
これを公演でのシーン中はもちろん、日常生活でも意識をしてきました。
こうして、常に新しい自分にバージョンアップして、公演に臨んでいます。

今回のテーマは「アンダーグランド」
表現をしていると、人々に受け入れられやすいものもあれば、
理解されにくいもの、拒絶、批判されやすいものといろいろ出てきます。
「楽しませよう」と考えると、どうしても「受け入れられやすい一般的なもの」を選びがちですが、
それをしてばかりだと、アーティストの感性が腐ってしまいます。
やはり、腐ってはいけません。

そこで、今回は、みなさまが受け入れにくいものばかりをお届けしたいと思います。
イヤな気持ちになったり、意味不明だったりするかもしれませんが、
ぜひそれを楽しんでみてください。
みなさんは、選ばれた人たちなのです。
僕たちは今回みなさんを楽しませようとは、全く思いません。
その代り、勝手に全力で楽しみます。
みなさんは勝手に楽しもうとしてみてください。
今回は「ヒドイ公演」だと言ってありますので、本当にヒドくても苦情は受け付けません!

それでは、みなさん、どうぞ、勝手にお楽しみください。

仲野 雄一