ゆういちが1歳の頃のお話。

高松から神戸ヘ向かうジャンボフェリーの中。
ゆういちが歩き出したのは10ヶ月にもなってない時。
いきなり立って2、3歩、歩いたかと思ったら
そのまま10歩くらい歩いた。

1歳2ヶ月頃には、三輪車に乗った。

父親の車に乗るのが大好きだった。
ガソリンスタンドにある洗車機。
父親は僕を車に残したまま、洗車機をかける。
車の中から機械が通っていくのを見るのが好きだった。

また、ある日のこと。
父親は、内装業をしていて、トラックも運転していた。
自宅の倉庫の前にトラックを停めている。
そのトラックの運転席に、ハンドルを持ったゆういちの姿が!
助手席には誰もいない!
ゆういちは、何10㎝かタイヤを動かした。
それを見て、母親が悲鳴を上げた!

父親が車を運転しているのをよく見ていて、
自分も運転したいと思ったのだろうか。

ゆういちは幼い頃の記憶がほとんどない。
小学生の頃は外に出ることをよく嫌がっていたという記憶はあるので、
おとなしい子どもだったのだろうと思ったのだけど。
母親に聞くと、全くそうではなかった。
おとなしかったのは1歳になるまで。

新しいものを見たら、とりあえず傷つけるので、
買ってきてもゆういちには見せないようにしていた。
そして、物を壊したら納得して去っていくとのこと。

「悪くて手がつけられなかった。
とにかく何でも壊す。」
「いつでも棒を持っていてカンカン音をさせて歩いていた。」
「新しい三面鏡を買ってきた時も、木製のものさしで突付いて割った。
それも30センチくらいの。」

「そんなもので割れるかと思うやろ。
でも割れるまでたたくんやから。
ガラスの修理代6千円かかったんやで。
上等の三面鏡やったんやで。
今でもあるよ。」

ある日、家のコンセントに、
鍵を2本差し込んで片手で握った。

感電!

「ギャーーーーーーー!!!
 ギャッ
 ・・・
 ヒックヒック・・」

という声を聞いて
母親が駆け付けた。

母親も悲鳴を上げた。