
今年のお正月は蒲郡の旅館で過ごしました。
僕は最近、旅先でその場所の空気を感じながら、粘土作品を作っています。
旅館の方に
「この部屋から初日の出は見えますか?」
と尋ねると
「はい、見えますよ。お部屋によっては森に遮られて見えない場所もありますが、こちらは大丈夫です」
と教えてくれました。

窓の外を眺めると、視界の端にその「森」が見えました。
しばらくじっと眺めていると、その森がひとつの大きな「生き物」のように思えてきました。
風が吹くたび、生き物はゆらゆらと揺れます。
後ろから風を受け、前へ進もうとする生き物を、「木」が遮っているように見えました。
その日の夕食。
お肉が盛られた器は、月のようでもあり、窓の外に広がる三河湾のようでもありました。

そして、元日の朝。
初日の出を拝んだ後、朝食前の静かな時間の中で粘土を手に取りました。

竹島を抱きかかえるように広がる三河湾の形を想い、円形のボードを土台に選びます。
朝の光に照らされた海は銀色に輝き、昨日のお肉の器のイメージと重なりました。
作品の主役は、昨日見た「生き物のような森」と、行く手を阻む「木」です。
銀色の三河湾の世界に向かおうとしている大きな生き物を、木が両手で遮るように立ちはだかります。
ふと、「この木はどこから生えているのだろう?」と考えたとき、
それは生き物の足元、つまり「自分自身」から生えているのだと気づきました。
自分を邪魔するものは、他人ではない。
自分自身の過去の古い考え方なのだ。
この生き物は、目の前に迫る竹島へどうやって辿り着くのでしょうか。
ふと見れば、右側には蒲郡の名産である「みかん」が実っています。
生き物はその豊かさに気づいているのか?
あるいは、みかんに気づかせるために、あえて木が立ちはだかっていたのか?
そして右下には、ピンク色の「桃の生き物」を添えました。
桃には「邪気を払い、古い慣習や考えを断ち切る」という言い伝えがあります。
この桃の生き物は、今まさに、前進を拒む古い木を真っ二つに切り裂こうとしています。

こんな作品ができました。