これまで、「Blocking」「Being Negative」「Wimp」と3つご紹介してきましたが、いかがですか?
これらは初心者がやりがちなことを、やりがちな順番に並べてあります。
これらをしなくなってきたら、次は「Cancelling」をし始めます。
「Cancelling」とは?
「Cancelling」は、それまで作り上げてきた全てのことを壊します。
主人公が裏切られるのを観て、観客は一瞬、笑います。
しかし、その後、ストーリーが進まず退屈するという目に合います。
「Cancelling」が起きると、観客はストーリーへの興味をなくします。
何度も繰り返されると、
「またどうせ、なくなるんだろうな。」
と、観客はストーリーへの信頼をなくし、ステージと観客との間に溝ができてしまいます。
「Cancelling」の例
赤ずきんはオオカミを見て走って家に帰った。なにも起こらなかった。
赤ずきんがオオカミに食べられそうになったその時、「はい、カット!」と言って映画監督が現れた。
赤ずきんがオオカミに食べられそうになったが、オオカミの歯は作り物なので柔らかかった。
火をつけたら、雨のシャワーが消す。
野良犬にえさをあげたら、トラックで平らにされる。
「Cancelling」の建設的な使い方
「Cancelling」の建設的な使い方は、シーンを終わらせることです。
ディズニーのプルートの話では、プルートはライオンのオリの中に大きな骨を見つけて、自分の持っている小さな骨を捨てます。
そして、大きな骨を手に入れるために、恐ろしい冒険をします。
しかし、結局最後は、最初の小さな骨に行きつきます。
これはそれまでの話をキャンセルしています。
しかし、最初に戻ったことによって、観客はストーリーが終わったことを理解します。
参考文献:Impro for Storytellers(Keith Johnstone著)