シアタースポーツはこのように進みます。
では、どのように違うのでしょうか?
見てみたいと思います。
開演前からエキサイティング!
開演まではお客さんはパンフレットを読んだりしながら静かに座って待っています。
または一緒に来た友人とおしゃべりしながら待っています。
それに対し、シアタースポーツのお客さんはあまり静かにおとなしく待っていたりはしません。
友人とおしゃべりしたり、ロビーでドリンクを飲んだり、出演者と会話したり。
前に観に来た時に友達になった人と話す人もいます。
シアタースポーツの会場ではその日に出会った人とも気軽に話せるような
「パーティー」のような空気が流れています。
海外では、シアタースポーツが広く広まり、
夕食後にシアタースポーツを観に行くというライフスタイルが普通だとのことです。
また、お客さんのファッションにも注目です。
公演のテーマや季節に合わせて思い思いの衣装を来ています。
「楽しませてもらう」のではなく「自分から楽しむ」気持ちで参加しているのです。
この日はハロウィンが近いこともあってコスプレが目立ちました。
このような雰囲気で会場が包まれています。
これはシアタースポーツを熱狂的に楽しむための準備といえます。
せっかく楽しんでもいいイベントでも、
周りがしら~っとしていたら盛り上がりにくいですよね。
思う存分楽しむための空気づくりなのです。
ショーが始まります!
まずは、司会者が登場し、ショーが始まります。
スポーツにおける解説者の役割もします。
これからお芝居を見るのですが、
あたかもスポーツのイベントに来たかのような感じです。
全ては即興で行なわれていきます。
ステージ脇には、ピアニストなどの即興演奏者がいます。
演奏も即興です。
照明も音響も即興です。
プレイヤーの登場!
「それでは、チームの登場です!
みなさま、大きな拍手でお迎えください!」
司会者の紹介により、プレイヤーと呼ばれる出演者が登場します。
演技をプレイする選手ということで出演者ではなくプレイヤーなのです。
3~5名のプレイヤーがチームごとに登場します。
観客は大きな歓声と拍手で迎えます。
ジャッジの登場!
「それでは、ジャッジの登場です!
みなさま、大きなブーイングでお迎えください!」
コメンテーターの紹介により、ジャッジとよばれる審査員が登場します。
ジャッジはプレイヤーの演技を厳しく審査します。
お客さんはプレイヤーの味方ですから、
プレイヤーに厳しい審査をするジャッジのことは嫌いです。
いきなりブーイングで迎えます。
「ブーイング」があるのが、シアタースポーツの特徴の一つですね。
海外ではブーイングの文化がありますが、日本にはありませんね。
ユーモアを持ってブーイングができるような文化を育てていきたいですね。
宣誓!
スポーツですので、宣誓があります。
「スポーツマンシップにのっとって正々堂々と演じます!」
このスポーツマンシップはとても大切で、これがないといいショーにはなりません。
即興の演技を見た時に気分が悪くなることはありませんか?
一人のプレイヤーだけにシーンの責任を押し付けて他のプレイヤーが協力をしなかったり。
特定のプレイヤーだけにムチャぶりをしたりして、いじめのような空気を感じたり。
それはスポーツマンシップがないからです。
チーメンバー同士が協力してシーンを作っていくことが大切です。
ショーを成立させるために、時には敵である相手チームのシーンを助けることすら必要となってきます。
この協力が見られるのがシアタースポーツの見どころの一つです。
演技なのにまさにスポーツなのです。
また、即興のふりをしてあらかじめ作った台本を演じてしまうのも、
スポーツマンシップに反します。
そのようなプレイヤーは初めから出演させませんし、
もしそのようなことがあれば、ジャッジがその場で厳しく指導をします。
この考え方を舞台側もお客さんも共有しているので、
存分に楽しむことができるのです。
対決スタート!
同じテーマで、各チームごとにシーンを演じていきます。
演技はすべて即興で行なわれます。
ゲーム形式になっているものを使って、制限のある中でシーンを作ることもあれば、
制限なしでシーンを作ることもあります。
プレイヤーは自分のチームのシーンを考えつつ、
全体のショーの流れも考えてシーンを作っていきます。
強制終了!
即興ですのでどんなシーンが生まれるか分かりません。
とても面白いものもあれば、とてもつまらないものも生まれるでしょう。
それをジャッジは判断をし、つまらないシーンには強制終了をかけます。
このホーンが「パフッ!」と鳴ると、シーンは強制終了です。
それ以上演じることはできません。
「途中で辞めさせられるなんて、プレイヤーがかわいそう。」
「途中で辞めさせられるなんて、プレイヤーとして参加するのは怖いなぁ。」
と思いましたか?
しかし、即興でつらいことの一つは
「面白くなりようがないのに続けなければいけないこと」です。
よく「失敗してもいい」とか「失敗を楽しもう」と言いますが、
本当の「失敗してもいい」は、失敗したら失敗を認めて、さっさと次に行くことです。
失敗した無様な姿を人前で長く晒すというのは、失敗に対する罰のようなものです。
罰があると失敗が怖くなってしまいます。
プレイヤーは辛いと思いながらシーンをしています。
お客さんにもシーンが上手くいっていないことがバレています。
誰もいい思いをしていないのですから、さっさと終わらせて次に行く方がいいのです。
このように、プレイヤーにも、お客さんにも、配慮がされています。
お客様からのブーイング!
退場!
プレイヤーが失敗を恐れてしまうと、萎縮してしまったり、
充分な力が出せずに終わってしまうこともありますので、
失敗してもOkな空気ができています。
プレイヤーは失敗を気にせずのびのびと遊び心を活かして
演技をするくらいがちょうどいいのです。
しかし、逆にプレイヤーが羽目を外し過ぎても困ります。
共演者が作ったシーンを壊してばかりになったり、
お客さんに失礼な関わりをしてしまったり。
あまりにひどいプレイヤーがいた時には、ジャッジが罰を与えます。
頭からバスケットを被せられて、反省スペースにしばらくいなければなりません・・・。
採点!
フィギュアスケートなどで演技が終わったら、点数が付けられるのと同じように、
各チームの演技が終わると、ジャッジによる採点が行われます。
ジャッジは1~5の番号札を持っており、シーンに対して点数を付けます。
ジャッジは3名いますので、最低3点から最高15点までの得点が付くことになります。
そして次のラウンドへ!
このサイトによく出てくるラウンドガールですが、ここで登場します。
シアタースポーツはボクシングのようにラウンド制になっており、
このような対決を4~5回繰り返し、最終的な勝者を決めます。
ユーモアのあるショー
このような流れでシアタースポーツは進んでいきます。
いろいろな「スポーツ」をモチーフにして、
「演劇」をエキサイティングなものにしています。
しかし「ブーイング」や「強制終了」、「退場」、
そして「表現に点数が付けられる」など、
ちょっと抵抗のある考え方もあるかもしれませんね。
これらは、ショーを楽しむためのユーモアです。
ブーイングだからといって本当に批判をするわけではないし、
退場させて罰を与えるといっても本当に罰を与えるわけではありません。
「勝敗」も演技的な「優劣」としてしまうと、俳優としては辛い場ですが、
これもスポーツの勝敗と同じく、ただの「勝敗」なのです。
ゲームとして楽しむユーモアを、出演者も観客も持ち合わせて楽しんでいるのです。
例えば、格闘技も本当に殺し合ったりしたらつまらないですよね。
提供側は観客が楽しめる範囲を理解しているのです。
そして、ここまで書いた事は、ほんの一例ですので、
いろんなショーがこれから生み出されるでしょう。
テーマや出演者が変われば、
いろんなアレンジをされたショーを作っていくことが可能です。